今なら、まだきっと…

『悲痛な叫び』

表に警告しておいたので、よもや『不死鳥の騎士団』未読の方はこのイラストを
見ていないと思いますが、思いっきりネタバレです。コメントも込みで、これ以上
は無いと言う程の(笑)

シリウス好きなら茫然、涙無しには読めなかったシリウス消滅のシーン。
敢えて『死』とは表現しません。それは確かに死なのかもしれないけれど、少な
くともハリー(=私達)の目に見える形で、彼は命を落とした訳ではないから。

あのベールが何なのか具体的に本編中では語られませんでしたが、遺体すら
回収されなかった、その努力すら行われなかった所を見ると、彼の肉体=存在
そのものが世界から喪失した、と言うことなのでしょう。
ダンブルドアやリーマスが瞬時にその事実を理解したという事は、ある種の媒
介を通しての存在の消滅という事象は、決して珍しい事ではないのかもしれま
せん。我々の世界で言う所の、三途の川とかそう言った意味合いでもあるんで
しょうか。

でも、ハリーはその事を知らなかった。いえ、知っていても認めたくなかったので
しょう。だからこその『今ならまだ届くよ』という、あの叫び。

一度目は両親の死。
二度目は、義理の親子となる約束を交わしたシリウスとの別離。
そして三度目は、名付親との今生の別れ。

一体彼は、幾度肉親を喪えば良いのでしょう。
彼を愛してくれる友人や大人たちは大勢居る。
でも親に等しい存在とは、全て死に別れている現実がある。

どうか、それが運命だと諦めないで欲しい。
『でも、僕は一人じゃない』―――彼がそう思ってくれる事を願ってやみません。

 

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