Shall we dance?


「ホークアイ中尉、特別任務だ。二週間後の週末までに、夜会用のドレスを仕立てておくように」
「…………は?」

藪から棒に上官から申し渡された指令に、ファイルを手にしたままリザは思わず目を瞬かせた。


「……あの、特別任務と夜会用のドレスの繋がり判らないのですが」

夜会に客として紛れ込んで、軍人と癒着した有力者の悪事を暴く証拠でも掴んでくるのだろうか。
それなら判らないでもないが、どちらかと言えば表向きロイが客として潜り込み、
護衛として随行した自分が暗に軍服のままで行動した方が都合がいいような気もする。
だが彼は一通の招待状を差し出すと、苦笑いを浮かべて見せた。

「これは……この辺りでは有名な資産家の、ご令息の結婚披露の招待状ですね」
「ああ、そうだ。ちなみにこちらに赴任して間もない頃、そのご令息の父君が、挨拶と称して袖の下を持って来た事があってな」


より多くの資産を築く為には、真面目にコツコツ働くか、あるいは悪事スレスレの事にも手を染めながらハイリスクハイリターンを狙うかである。
件(くだん)の資産家は、やはりと言うべきか後者の方であった。
赴任してすぐに土地の有力者の内偵をしていたロイは、その資産家が非合法な手段で財を築いている事を既に掴んでいた。

「ようするに今後自分たちの『ビジネス』に絡む不祥事があったとしても大目に見てくれと…そういう事ですね」
「平たく言えばそうなる。まあ、うっかり賄賂なんぞ受け取ろうものなら今後自分が足元を救われかねないので、丁重にお断りしたんだが」


余程悪質ならば既に掴んでいる証拠で摘発に乗り出すつもりだったが、さしあたっては泳がせておく事にした。
所詮は井の中の蛙。地方で蠢動する小悪党に律儀に関わっているほどロイも暇では無い。
だが賄賂を断った数日後、その資産家は意外な方法で更にロイと接触を試みたのである。


「今回結婚されるのはご令息だが、彼には年頃の妹が居てね」
「……ああ、そういう事ですか」

ニヤリ、と笑った彼の表情で判った。

「金で動かせないのなら、将来有望な軍の高級士官に娘を嫁がせようと」
「まあ、そういう事だ」


結局は遠回しに持ち掛けられたその縁談も一度も会わないまま断ってしまったので、その資産家の心象を相当悪くした筈である。
以来特に何を仕掛けてくる事もなく、お互いに接触を持つ事は無かったのだが―――
何故今更、息子の結婚披露の招待状などを寄越して来たのか。

リザの素朴な疑問には、ロイが既に自分なりの答えを出していた。

「多分、私に対する嫌がらせだろうな」
「嫌がらせ…ですか?」


色々と考えられる事はある。

例えば息子の結婚相手が誰の目にも見て明らかな美女なら、ロイが羨むと思うだろう。
あるいは兄の結婚披露なら、既に他家に嫁いだと聞いている妹も出席する筈だ。
その妹がやはり容姿に優れていて、なおかつ名家に嫁いでいたら……彼女を袖にした事を、ロイが悔やむという寸法だろうか。
単に贅をつくした披露パーティを、『軍人風情には真似出来まい』と見せ付けたいだけかもしれないが。

「つまり、私が悔しさで地団太踏む様が見たいのだろうさ」

ロイの口元に、人の悪い笑みが刻まれる。
子供っぽい見得と権勢欲を振りかざす俗物を、蔑むような乾いた笑いだった。

「そこまで判っていて、わざわざ出席されるのですか?面倒なら職務を理由に欠席されればよろしいのでは」

呆れながらも、控えめにそう進言する。

わざわざそんな茶番に付き合わず、断る理由は幾らもあるのだ。
だが彼は自分にもドレスを仕立てて、同行しろと言う。

「何を言う。幾ら普段疎遠にしているからと言って、地元の有力者からの直接の招待だぞ?断ったりすれば色々と軋轢を生むよ。
 それに、私は一方的に殴られている趣味は無いのでね」


つまりパートナーとしてリザを伴い、逆に相手に地団太を踏ませてやろうという魂胆なのだ。
請われれば化粧と演技である程度の美女に化けるくらいの事はしてみせるが、
自分の容姿をそこまで買われるのも、いささかこそばゆい話である。
どう好意的に見ても『黒い』としか表現しようのない笑みを浮かべたロイに、リザが小さく溜息をついてみせた。

「……今の大佐の顔は、まるでクーデターの計画を立ててる首謀者そのものですよ。
 此処では構いませんが、どうか部屋を出たら素に戻ってください」
「君さえ承諾してくれるのなら、今すぐにでも」

にこにこ。

「虫も殺せないような無害を装った笑いを浮かべても駄目です」
「では、私に一人で出向いて無残な敗北感を味わって来いと言うのだね」

ピシャリと突っぱねると、今度は情けない顔で殊更いじけて見せる。
見え透いた手だったが、このままいつまでもウダウダと拗ねられていては片付く仕事も片付かない。
結局リザは、不承不承頷く羽目になった。

「判りました。そこまで仰るのなら、同行いたします」
「そうか!」

ああ、垂れてた耳が立った。机の下では、大きな黒い尻尾をブンブン振ってるに違いない。

上官の頭の上に愛犬と同じようなピンと尖った三角耳が見えたような気がして、リザは苦笑いを浮かべた。


「その代わり、ドレスの仕立て代は経費で落として頂きますからね」
「私の権限でどうとでもねじ込んでみせるよ」


本来リザはそういった限りなく私用に近い経費支出は撥ねる立場なのだが、
ロイが『公務だ』と言い張るのだから、たまには素直にその言い分を聞くのもいいだろう。
それにうっかり安易なドレスを仕立ててロイに恥をかかせるように事にでもなったら、そちらの方が余程面倒である。
招待者である披露パーティの主賓とその配偶者を、まずは見た目で凹ませる事が第一の目的なのだから。

とにもかくにもリザが同行を承諾したので、ロイは満面の笑みだった。

「それと私は、生憎とワルツなどは踊れませんので。その辺はご理解の上、第一目的を果たした後は壁の花に甘んじさせて頂きます」
「なら、当日までに基本的なステップを仕込んであげよう。これからどんな任務に使えるかも判らない。憶えておいて損はないよ」

いくら飾りとは言っても、一曲くらいは踊る事になるのだろう。
ご満悦のロイを前に、リザは否と言える立場ではなかった。



「お待たせしました、マスタング様」

イーストシティでも有名なブティックの片隅に設けられた待合室で、軍の礼装姿で小一時間も手持ち無沙汰で待たされていたロイは、
店員に声を掛けられて振り返った。

「ほう、これはまた……」
「馬子にも衣装、ですか?褒め言葉と思っておきます」

ロイの口元に浮かんだ笑みに気付き、いつもの軍服から夜会用のドレスを身に纏ったリザが自分で皮肉を口にする。
私服ではヒールのある靴もロングスカートも身につける事はあるが、夜会用のドレスなどは経験が無かった。
大胆に露出した肩や首筋、足首まで覆い隠す裾が気になって仕方がない。

「何を言う。どんなドレスも、似合う者が身につけなければ価値などないよ。うん、私の見立ては間違いなかったな」


そう―――今リザが身につけているドレスは、全てロイが見立てた物だった。
そもそも夜会用のドレスなど仕立てた事がなかったので、仕立てておけと言われても、どの店がいいかもよく判らない状態だった。
ロイが持ち前の情報網を駆使して調べた、イーストシティでも指折りのブティックに勤務を終えたリザを引っ張っていき、採寸を済ませた。
その後は彼女の意見を織り交ぜつつ、ドレスも靴もその他の小物に至るまで、ロイが選んだのである。

ロイが選んだのは、光沢を抑えた緋色のロングドレス。
深みのある真紅は彼の生み出す焔か、あるいは血の色を思わせる。
一見派手な色彩だが、光沢が抑えられているのと深みのある色合いの為、ずっと落ち着いた印象だ。
ワンショルダーのデザインで首筋と左肩が大胆に露出しているが、
装飾品に小さな紅い貴石を連ねた首飾りとブレスレット、ピアスを用意したので、それである程度カバー出来る。
小さなハンドバッグと靴、そして結い上げた髪を纏める髪飾りには、燻した銀色の品を選んだ。
ドレスやアクセサリに華やかな色を選んだ割には、光沢や演出の仕方で、品良く仕上がっていた。


「後は裾を踏みつけて私が転ばない事を祈っててください。何せ慣れない格好なもので、受け身もとれませんから」

彼女らしい心配の仕方に、クッと喉の奥でロイが笑った。
流石に銃を携帯する事は出来なかったようだが、リザなら素手でも大の男を投げ飛ばすくらいの事はやってのける。
今夜は大立ち回りは無いだろうが、心無い客に押されてよろめくくらいの事はあるかもしれない。

「勤務の内とは言え今夜は私のパートナーなのだから、遠慮せずに支えにしてくれていいんだよ」
「ご冗談を。うっかり大佐に縋ろうものなら、あっという間に私の身元が調べ上げられて、明日には大量の剃刀と嫌味の手紙が届きます」

リザはロイの同伴者として出席するが、最初から部下として伴えば第一目標――招待者を凹ませる――の効果が薄れるので、
名前しか明かしていない。
逆を言えば偽名を名乗っている訳ではないので、名前とロイの身辺から調べれば、自ずとリザの身元が判明する。
パーティーには未婚の新婦の友人も多数出席しているだろうから、彼女達がロイに注目するのは必至だった。

別に今更ロイとの関係をやっかんだり深読みした女性からの非難や嫌味の手紙くらいではどうと言う事もないが――
そんな事は彼の部下になって最初の半年で慣れてしまった――鬱陶しい事には変わりない。
出来れば目的の人物だけ凹ませて、後は穏便に役目を終えたかった。

「それでは、驕れる者の鼻をへし折りに行こうか」
「程々になさってください。あまり張り切りすぎると、後
始末が大変ですから」

差し出された腕にそっと手を掛け、リザは紅を引いた唇に微苦笑を滲ませた。



「くっくっくっ…見たか?あのバカ息子の悔しそうな顔を」
「大佐、声が大きいですよ」

パーティ会場の一角でロイは肩を震わせながら笑いを噛み殺し、腹の底から愉快そうな彼の様子をリザが小声で諌める。

「何処で誰が聞いているか判らないのですから」
「判っているさ。ああ、それにしても久し振りに胸が透く思いがしたよ。金持ちの道楽に付き合うのも辟易していたが、たまには悪くないな」
「またそんな事を言って……」

まだ笑いの止まらないロイに、リザは小さな嘆息を漏らした。



二人はほぼ招待客が勢揃いした頃に会場に到着した。

軍の礼装姿で姿を見せたロイに招待客の女性の多くがハッと息を呑んだのだが、
それ以上に人目を引いたのは彼が同伴したパートナーの女性―――リザだった。
彼女は前を歩くロイに半ば自らを隠すようにして後をついて歩いていたのだが、
招待者である花婿とその父親に挨拶をする時に、初めて彼女の面が他の招待客にも明らかになった。

『ほう……これはまた、お連れはお美しいご婦人で……こちらは、マスタング大佐の好い方かね?』

ヒクッ、と口元に蓄えた髭を引きつらせながら、花婿の父親――以前ロイに賄賂を贈ろうとして断られ、娘との縁談を蹴られた張本人だ――が、
辛うじてそれだけ口にする。
息子であり、今夜の主役である花婿はと言えば、顔を上げたリザを見て驚愕を隠し切れなかったようだ。
独り者のロイに自分の美しい花嫁を見せつけ、当てつけようと画策していたのに、当のロイが花嫁もかくやと言う美女を伴って現れたのだから。



『お招き頂き、ありがとうございます』

波打つドレスの裾を引きリザが優雅に頭を垂れると、周囲からは溜息のような感嘆の声が上がる。

背はパートナーのロイと比べて高過ぎず、低過ぎず。伸ばした背筋と凛とした顔立ちの美しさは、男性客が思わず振り返る程だった。
彼の錬金術師としての二つ名が『焔』である事を知る者は、彼女の纏う真紅のドレスにその象徴を見出しただろう。
しかもそれだけ鮮やかな色合いであるにも関わらず、彼女自身の控えめな物腰とデザインのシンプルさのせいか、決して派手に過ぎない。
下手をすれば主役である花嫁花婿の白い衣装を喰いかねないのだが、自らを主張し過ぎる事も無く、見事に場に馴染んでいた。

思いもよらず美しいパートナーと共に現れたロイに、あからさまに花婿の面が悔しげに歪む。
『ロイの同伴者』としてのリザの役割は、この時点でほぼ完璧に果たされたのだった。

女性であるリザの目から見ても、今宵の花嫁はとても愛らしい女性だった。
美しいというよりは、可愛らしいと評されるべき顔立ちである。
おっとりとした気性のようで、リザを見て思わず歯軋りした夫の様子には全く気付く様子も無く、
『ようこそいらっしゃいませ』と、自分たちに笑顔で挨拶をしてくれた。

此処だけの話、この花婿にこの女性は不釣合いなのではないかと感じた。
資産家の子息令嬢同士の婚姻ならば、もう少しサバサバしているというか、形式だけの結婚を思わせるような雰囲気があるのではないかと想像していたが、
少なくとも花嫁は心からこの結婚を喜んでいるように見える。

この女性ならば、もっと誠実で堅実な思考を持った相手を選べたのではないだろうか―――
後々、彼女が不幸な結婚生活を送る事にならなければよいがと、他人事ながらリザの方が心配になった。


パートナーとして伴ったリザを絶賛されたロイは、奥歯で笑いを噛み殺しながら、どうとでも取れるような曖昧な返事をした。

『このような華やかな席に独り身で出るのも侘びしいので、無理を言って同席してもらいました。
 まだ何の約束も交わしてはおりませんが、いずれ時期を見て…と考えております』


呆れた事に、この時点でロイは明らかな嘘は口にしていない。
無理矢理同席させられたのは事実だし、確かに何の約束を交わした訳でもない。
『いずれ時期を見て』というのは受け取る側の問題であって、この場を乗り切りさえすれば、後は野となれ山となれである。

ロイが引き合わされた花嫁に最上級の笑顔を見せ、彼女が思わず頬を上気させたのを目にして、花婿は顔を真っ赤にした。
腹いせ紛れに花婿もリザに流し目を使ってきたが、何気ない風を装って彼女
が視線を外したので、彼は一層ギリギリと奥歯を噛み締める事になった。



「くくく…とにかくこれで私の目的は全て達した訳だ。金で全てが片付くと思っている連中には、いい薬になっただろう」

今回の結婚にしても、純粋な恋愛の末ではないだろう。
恐らくは花婿とその父親が、実家の資産と見目の両方の兼ね合いで決めた可能性が大だ。
例え娘にいい相手が居たのだとしても、手切れ金を渡して別れさせるくらいの事はやった可能性がある。
そこまで手を尽くしてかつて縁を拒まれたロイに意趣返しをしてやろうとしたのに、あっさり凹まされてしまった訳だ。
噛み付いた相手が悪かったと、諦める他はないだろう。

「あの親子はともかく、花嫁自身の性根は悪くないと思いますけど」
「そうだな。何もこんな家に嫁がなくても、もっと他にいい縁談があっただろうに」

遠慮がちに花嫁を擁護したリザの言葉に、ロイも小さく頷いてみせる。やはり彼も花嫁自身にはさしたる悪感情を抱いていなかったのだ。
親の薦める縁談を唯々諾々として受け容れる姿勢自体には共感出来なくとも、少なくとも本人が幸せなのだと思えるのならば、それもよいだろう。
金持ち相手に玉の輿に乗るのが幸福だと言われてしまえば是非も無いが、彼女にはもっと別の幸福があったような気がする。
他人の自分たちが、とやかく言える事ではなかったが。

「私達が今夜このパーティに出席した事で、今後あの夫婦がギクシャクしなければいいのですが」
「そこまで我々が責任を持つ事は無い。招待状には同伴者可とあったのだし、何より花嫁花婿に挨拶をしただけなのだからね」


仮に花婿がリザに懸想して、結婚早々花嫁に離縁を申し出ても、それはロイ達の預かり知らない事だ。
幾らなんでもそこまであの花婿が愚かだとは思っていないが、いい歳をした大人なのだから、自分の事は自分で責任を持つべきだろう。
そもそも言い寄った所でリザが相手にする訳はないので、どのみち徒労に終わるのだが。



「さあ、煩い連中に捕まる前に我々は引き上げるとしよう。
 招待に応じて挨拶も済ませた事だし、一時間はこの場に留まった。最低限の義理は果たしただろう」

ざわめく人の波に紛れて、ロイとリザが立ち去ろうとしたその時―――

「おや、パーティは始まったばかりだと言うのにもうお帰りですか?一曲くらい、踊っていかれたらいかがです。
 貴方もその美しいパートナーを、今日この場に集まった他の招待客に、もっとよく見て頂きたいでしょう?」

チッ、と他の者には聞こえないように小さくロイが舌打ちしたのを、リザは聞き逃さなかった。
つくづく嫌な奴だと思っているのかもしれない。去る者は放置して追わずにおけばいいものを、わざわざ呼び止めたのだから。

だが振り向いた時には完璧な愛想笑いを浮かべ、ロイは慇懃無礼に頭を下げた。

「生憎と、ダンスは不得手なのですよ。私が相手では、彼女に恥をかかせかねませんからね。
 そう長く司令部を空けてもおられませんから、そろそろお暇させて頂こうかと」

それは咄嗟につかれた嘘だった。

危なっかしいのはリザの方である。
幼い頃に何度か踊ったきりという彼女に基本的なワルツのステップを教え直したのはロイだが、これがなかなか達者な足運びだった。
自分が下手だと言う事にしておけば、リザが恥をかく事にはならないからという配慮だったのだろう。
だが、そのささやかな気遣いが仇となった。

「ほう、噂に名高い焔の大佐にも苦手な物がお有りでしたか」

してやったり、という笑みが花婿の口元に浮かぶ。

「お忙しい身であるのに、私の祝いの席に駆け付けてくださり、ありがとうございました。
 出来ればお帰りの前に一曲、お連れの方をお借りするのをお許し頂きたいのですが」

薄い笑みを浮かべたまま彼は妻を呼び寄せると、リザと踊っている間、ロイの話し相手をしているようにと申し渡した。

「いや、しかし……」

ロイがちら、とリザを見る。

リザのダンスはにわか仕込みだ。
自分が相手になってカバーすれば何とか誤魔化せるかもしれないが、他人相手だと恐らくボロが出る。
恐らくダンスが苦手だと言ったロイの前で、彼女と優雅に踊って見せれば鼻を明かせるとでも考えたのだろうが……

その時、ツンと後ろから礼服の袖が引かれた。

「大佐、一曲くらいならよろしいでしょう?」
「ちゅ……!?」

『中尉』と口にしかけたその口元を、リザが人差し指で塞ぐ。
いずれ調べられれば露見する事でも、今、自分が彼の部下である事を知られるのは得策ではない。
わざわざ花婿の方をちらりと振り向き、にっこりと紅を引いた口元に笑みを刻んで見せた。

「せっかくのお誘いですもの。大佐がダンスの相手をしてくださらないから、少し退屈していたんです」
「だが……」

リザが一瞬目を伏せ、小さく顎を引いて頷いて見せる。
『大丈夫です』と、その眼は言っていた。
ドレス姿も、耳慣れない話し方も、普段はつけない鮮やかな色の口紅も、全てはロイのパートナーを演じきる為の布石―――
このまま固辞し続ければ、かえって面倒な事になるからと。

自ら進み出た彼女の手を取り、花婿が相好を崩す。

「それでは後ほど」

わざわざリザの腰に手を回すと、ロイに見せ付けるようにして彼女をホールの中央へと連れ出した。



「少々驚きましたよ。まさか貴女の方から、ダンスの誘いに応じてくださるなんて」
「あまり彼を困らせないでください。軍での立場もありますから、例えダンスであっても、苦手だなどと噂が立っては色々と」
「判っていますよ。男は面子や体面を酷く気にするものですからね」

花婿のリードでリザはワルツのステップを踏んでいたが、その足取りは思いのほか危なげないものであった。


実はロイも知らない事だったのだが、この二週間、リザは休暇や勤務終了後の時間を利用してダンスの特訓をしていたのだ。
ロイがリードすれば、上手くボロが出ないように装ってくれる事は判っていた。
だが必ず彼が相手になるとは限らない。
万が一、という事になった時に慌てなくても済むように、最低限恥をかかない程度の腕前には仕上げてきていたのである。
まさか本当に、しかもロイが凹ませてやろうと画策していた花婿自身を相手に踊る羽目になるとは思っていなかったが。

「それにしても貴女のように美しい女性を壁の花にしておくなんて、マスタング大佐も噂ほどの方ではないようだ。
 どのような縁で知り合ったかまでは尋ねませんが、相手はよく選ばないといけませんよ」
「それは私に男の方を見る目が無いと仰りたいのかしら?」


ちら、と見上げたリザの瞳が一瞬冷たく自分を射抜いたような気がして、花婿が僅かに怯む。
だがハッと見直した時には、彼女はただ微笑を浮かべているだけだった。


やがてワルツの調べが終わり、花婿の手からするりと抜け出すようにリザが身体を離す。
その足でバルコニーに出たリザの後を、無意識のうちに彼は追っていた。

「貴女の名は?」

風にドレスの裾を靡かせていたリザの背に、花婿が声をかける。

「いけない方ね。奥様を迎えられたばかりの人が、他の女性の名を尋ね
るなんて」

振り向かないまま諌めるように呟くと、彼はリザの隣に並んだ。

「妻とは形式上の仲です。半分は親同士の思惑で決まった縁談だし、彼女にだって恋人の一人や二人居るでしょう。
 表向き『良き妻』を演じてくれれば、後は彼女のプライベートに口を挟む気はありませんよ」

それはつまり自分のプライベートにも、妻に口を挟ませないと言う事だった。
表向きだけ『良き夫』を演じ、別の女性を愛人として囲おうとも。

「私は宝石の目利きを仕事にしてるんですよ。石だけではなく、人を見る目もあるつもりです。
 貴女の選んだ相手を悪く言う気はないが、もっと視野を大きく持ってもいいんじゃないですか?」

男の手がリザの肩を抱き寄せる。

「貴女ほどの女性が、つまらない男に束縛されているのは大いなる損失です。
 私なら、貴女の望む物を全て差し出す事が出来ますよ」
「……一体、何をくださると言うの?」


リザが返事をした事で、男は完全に舞い上がってしまった。
落ち着いて彼女を一目見れば、氷のように冴えた瞳が、侮蔑を込めて自分を刺すように見ている事に気付いたであろうに。


「何でもいいですよ。金でも、宝石でも、ドレスでも思いのまま」
「くだらない」
「……え?」

ぽつり、と口にされたその声を、花婿は完全に聞き取れなかった。
いや聞こえてはいたのだが、聞き間違いだと思ったのだ。金にも宝石にも、興味の無い女性など今まで自分の周りには存在しなかったから。

「私の望む物なら何でも……と仰いましたわね。なら、私が貴方にこの国の大総統になれと言えば、貴方はその望みを叶えてくれるのかしら?」
「何をバカな事を……」


ハハ、と乾いた笑いが男の口から漏れた。
だが思いもかけない事を不意に口にされて、狼狽しているのが手に取るように判る。

「不可能だと判りきった、そのような無理を言って私を困らせるつもりですね。その手には乗りませんよ」
「何故不可能だと思うの?軍は人の作った組織であって、その組織のトップと言えども人である事に変わりは無い。
 今すぐは無理でも、軍に入って三十年も功績を上げ続ければ、あるいは叶わない話ではないかもしれないのに」


ようやく花婿は、自分を見る鳶色の瞳の冷たさに気付いた。
肩を抱く手を振り解きたい衝動に駆られるのに、麻痺してしまったかのように指一本動かせない。


「何の努力もせず、辛酸を舐める事も知らず、全てを賭けてでも何かを成し遂げようとする気概も無い貴方は、一生あの人の足元にも及ばない。
 せいぜい私腹を肥やす事に精を出して、自分の狭い世界で生きていけばいい」
 
「な……んだと?」


幾ら花婿が鈍くても、リザに手厳しく拒絶された事は流石に判った。
彼女の射抜く視線に怯んでいた事も忘れ、怒りに顔が紅潮する。

―――その時だった。


「私が本気で腹を立てる前に、彼女の肩からその手を退けてもらおうか」

ホールへと続く背後に慣れ親しんだ気配を感じ、リザが振り向く。花婿も、引きずられるように振り向く形になった。

「貴様…!?」


翳された彼の右手には、既に火蜥蜴の紋章が描かれた手袋が嵌められている。
ギリリ、と歯噛みした花婿ごしにリザを見遣って、ロイの口元に苦笑いが浮かんだ。

「もっとも、私よりも彼女を怒らせる方が余程怖いがね」

その声にリザを振り返った花婿が、ヒッと声にならない悲鳴を喉の奥で漏らす。
リザは細工されていたドレスの裾から一瞬で糸を一本抜き取り、膝上まで露になるスリットを作り出していた。
そのスリットから腿のホルダーに仕込んであった銃を取り出し、男の背中に銃口を押し当てていたのである。

「世の中には幾ら金を積んでも、買えない物や動かない人間がいる事を学びたまえ」

花婿が牽制されている隙に銃をホルダーに戻し、スリットを巧みに隠してリザがロイの背後に回る。

「イーストシティでこの俺をコケにして、タダで済むと思うなよ!」


どこまでも狭量な自分の尺度でしか物事を捉えられない言い草に、ロイが一つ溜息にも似た息を吐く。
冷ややかに花婿を見下ろすロイの面は、今まで彼が見下していたうだつの上がらない軍人ではなく、
有事には数百、数千の部下を指揮する国家錬金術師のそれへと変貌していた。


「権謀術数、多いに結構。自分の才覚と機知でどうにか出来るというのなら、幾らでもやってみるがいい。
 上手く立ち回れば、あるいは私を最前線に放り込むくらいの事は出来るかもしれないな」
「よく言った。憶えておけよ、軍の中にも貴様と違って利口な連中は居るんだ」


お定まりの啖呵にロイ達は一瞬目を合わせると、蔑むというよりは哀れみに近い眼差しを花婿に向ける。
何故こんな単純な事にも気付かないのかと、不思議そうに―――
自分はいつでも人の上に立つのが当然で、他人は黙って殴られる為に頬を差し出せとでも言うのだろうか。

「我々も、君と君の父上を失脚させるのに十分な情報と証拠を既に握っている。
 今の所それをどうこうする気はないが、いざとなったら保身の為にそれらを世に出す事になるだろう。 
 それでもなお己の沽券と意地を賭けてやりあう覚悟があるのなら、かかってくるがいい。
 その時は全力を持って、君に対しよう―――何でも自分の思い通りになると思ったら大間違いだ」


怒りと狼狽で水を求める魚のように口をパクパクさせる花婿をその場に残し立ち去ろうとしたが、ふと足を止めたリザが振り返る。

振り向く前の彼女の視線の先には、遠くから心配そうにこちらの様子を窺う花嫁の姿があった。
何の邪心も二心も無く、ただ純粋に夫となった人が何かトラブルに巻き込まれているのではないかと案じる眼差しを向ける姿が。

「……あの気立ての優しい奥様に対してこれ以上の不実を働くのなら、同じ女として、私は貴方を赦さない。
 人として、男としての誇りがあるのなら、貴方は貴方の器量で守れるだけの幸福を大事になさい」


ロイの手がリザの肩を抱く。
それきり二人は振り向かず、ワルツの調べが流れる屋敷を後にした。



「驚いたよ。まさか君が、あれ程はっきりあの男に喧嘩を売るとは思っていなかった」

車に乗り込みしばらく走った後で、苦笑交じりにロイが呟く。

花嫁の取りとめもないない会話の相手をさせられている内にホールにリザと花婿の姿が見えなくなったので、探していたのだそうだ。
普通に声をかけようとしたのだが、明らかに彼女が花婿に対して攻撃的な物言いをしていることに気付いたので、あのような登場の仕方になったのである。

「申し訳ありませんでした。あそこまで言う気は無かったんですが…」


黙って聞き流しておくつもりだった。
不実な男に嫁いだ花嫁は気の毒に思うが、それは自分の預かり知る所ではない。
例え親の言いつけであっても、最終的にあの男を夫にと選んだのは彼女自身の筈だったから。

だが花婿となった男の不誠実さに、つい感情が揺らいだ。
自分で自分を貶めるのならばまだいいが、彼は自分の不実を、妻となった女性にも当てはめたのだ。
まるでそれが当然の事のように、愛人の一人や二人珍しい事でもないと……


「濁った目を覚ましさえすれば、あんな男には勿体ない程の花嫁が身近に居るというのに。
 まあこれであの性根の腐った花婿も、君に脅かされて少しは肝が冷えただろう」
「私は釘を刺しただけです。脅かしていたのは大佐でしょうに」

『そうだったな』と、ロイが肩を揺らせて愉快そうに笑う。
その表情が、不意に引き締まった。

「……私に対しての攻撃はどうとでも受けられるが、君にも苦労をかける」
「どうぞお気になさらず。それほど柔じゃありませんから」


恐らく明日にでも、自分の素性はあの花婿に知れるだろう。今頃怒り狂って調べている筈だ。
だが例え私兵を率いて乗り込んで来たのだとしても、追い返すだけの力が自分には有る。
そもそも自分が売った喧嘩だ。誰に面倒を見て貰う気も無い。勿論、それはロイも例外ではなかった。

「あの女性がこのまま夫の不実に気付かず、自分は幸福なのだと信じて一生を送れればいいと思うのは……お節介でしょうか」

窓の外を流れる夜景を目に映しながら、ポツリとリザが呟く。

自分には望むべくも無かったが、世の中の暗い部分を知らず、自分は幸福なのだと信じて一生を過ごす女性が居ても良いと思う。
例え親の意思で決まった結婚だとしても、彼女はその生き方に何ら疑いを持たず、幸福だと信じているのだ。
ならばその幸福を信じさせる努力を、あの花婿は一生続けていくべきだと思った。

「望んで茨の道を歩む者も居れば、真綿に包まれ守られなければ生きられない者も居る。
 夫の不実に気付くのもまた、彼女が幸福になる為には必要な事なのかもしれん」
「あの男に三行半を叩きつけて、別れる勇気が彼女にあると?」


それだけの強さを持って欲しいとは思うが、彼女には無理だろうという確信もある。
実家に泣きつくか、一人で泣くのが関の山だろう。

だがロイは、ニヤリと意味深な笑みを浮かべて見せた。

「実は、さっき彼女に君の連絡先を教えておいたんだ」
「……はい?私の連絡先を……ですか?」

思わず、目を瞬かせた。


どう考えても、あの花婿が家庭や妻を大切にするとは思えなかった。
だが他人である自分は
気の毒に思いはしても、どうしてやる事も出来ない。
ロイ自身が下手な手助けをすれば、あの男の事だ、彼女の方にこそ不実があると詰(なじ)りかねなかった。


「だが君なら同じ女性だし、幸か不幸か、あの花婿の驕った鼻っ柱を一度はへし折った。
 一度会っただけの仲だが……友人として、助言や話し相手にはなれるだろう?」
「……全く、人の了解も得ずにまた勝手な事を……」


呆れはしたが、咎める気にはなれなかった。
それはリザ自身も考えていた事であったから。

一度は言葉を交わし、彼女の行く末を案じた。
彼女の人生に介入する事は出来ないが、悩みや愚痴を聞くくらいの事は出来たのに―――と考えていたのである。
生憎と花婿に釘を刺すだけで精一杯になってしまい、悔やんでいたのだが……その分、ロイが機転を利かせていたのである。


「しかしどうせなら夫人にお茶会にでも招待して貰って、定期的に堂々と、あの男にプレッシャーをかけに行くのもいいかもしれませんね」
「おいおい、目が冗談じゃ済まなくなっているぞ」

思いもかけないリザの言葉に、ロイが慌てたように座席から背中を浮かせる。
その様子を見遣って、彼女は紅の刷かれた口端にクスッと笑みを滲ませた。

「冗談です。でもご命令とあらば、いつでも乗り込んで行きますよ」
「今度はドレスじゃなく、いつもの軍服でな」



そう口にして、ロイがやおら溜息をつく。

「それにしても勿体無い。折角最高の演出をしたのに、あの男がいい目を見ただけで、私自身は踊ってもらえなかった」
「え、ホークアイ中尉がワルツ踊ったんスか!? 」

それまで黙ってハンドルを握っていたハボックが、驚いたように後部座席を振り向く。
『前を向いて運転しろ』とロイに後ろ頭を小突かれて、渋々視線を前に戻す。

「そりゃあ、パーティに出席したお偉方は眼福でしたねぇ。しかも素性をその場で明かしてないから、さぞかし注目を浴びたんでしょう?」

まさかリザがドレスの中に銃を仕込んでいるとは思わなかったから―― 糸一本引き抜くだけの例の細工は、
仕立てる前に予め彼女が指示していたんだそうだ――護衛兼運転手として、ハボックも屋敷の傍で待機を命じられていたのだ。
ブティックからロイに手を取られ、真紅のドレスを纏って姿を見せたリザを見て、初めは彼女と気付かなかった。
衣装による第一印象もさる事ながら、化粧や髪型も普段とは全く違うものであったから。
いつもは女性らしさを敢えて打ち消すような装いだが、ロイが見立てたと言う今日のドレス姿は、正にリザの持つ本来の美しさを十二分に表していた。

ちらとバックミラーに映るリザの姿を見て、思わずハボックの顔が緩む。
同じくバックミラーに映った締りの無いハボックの表情を見て、ロイが得意気に腕組みした。

「ふっふっふ、そりゃあもう。金と権力の亡者共が、穴が開くほど彼女を見ていたよ。
 その代わりパートナーだった私には、殺気と嫉妬の入り混じった視線が刺さって来たがな。
 こんな機会でもなければ中尉のドレス姿なぞ拝めないから、どうせなら一曲お相手して貰いたかったよ」
「あら、私の相手は高くつきますよ?」



『へ……?』と、ロイとハボックがミラー越しに目を見合わせる。

「ダンスのお相手くらい、いつでもなって差し上げます。
 その代わり次の日は、一日デスクワークから逃げられないと思ってくださいね」

ニッコリと、彼女には珍しく柔和な笑みを浮かべる。
だが見惚れるようなリザの笑顔も、今のロイ達には魔女の微笑みに思えた。



ちなみに後日回されて来たドレスの請求を見て、リザは内心、経費で落とすと宣言した事を後悔した。
夜会用のドレスが安くはないだろうという察しはついていたが、たまたまロイの見立てた物が高価だったのか、
それとも相場がそういうものなのか、とにかく想像していたゆうに二倍の額が記された伝票が回ってきたのである。



「やはり、自分で支払います。幾らなんでも一度きりしか着ないドレスの代金を経費で落とすのは……」

リザが経費伝票を手にそうロイに申し出ると、彼は書類にサインをしていた手を止め、意味ありげに彼女を見上げた。

「良心が痛むかね?でも、素直にそのまま伝票を回しておいた方がいいと思うぞ。何せまだそれは、ドレスの請求だけなのだから」
「…………は?」

思わず、聞き返してしまう。

「ドレスに靴、バッグ、アクセサリ、ヘアメイク……全て軍部宛に領収書を書いてもらったので、幾ら掛かったか私も憶えてないからな」

はははと、気楽な笑い声を上げるロイを前に、思わず返す言葉を喪ってしまう。

「……それなら、せめてこのドレス代だけでも私が」

幾ら何でも、ドレスが一番高価だろう。
アクセサリも馬鹿に出来ない額だとは思うが、何もしないよりは安眠出来る。

「……ふむ、どう言っても聞かないか」


ロイはおもむろに手を伸ばして経費伝票にざっと目を通すと、それを傍らの灰皿に置き――ロイは煙草は吸わないが、
今回のようにたまに違う用途で使われる――パチンと指を鳴らして、燃やしてしまった。

「大佐!?」
「経費で回さなければいいのだろう?これで、君が良心を痛める必要は無くなったわけだ」
「しかし、それでは支払いが……」

ドレスの金額などは改めてブティックなどに聞けば判るが、その他諸々はどうする気なのか。
リザとてどの店で何を購入したか全て把握している訳ではないので、調べるにも限界がある。

狼狽したリザに、ロイはにやりと笑って見せた。

「気にしなくても、伊達にこの歳で大佐の位を戴いてはいないよ。
 そうだな、今度の休みにあのドレスを着て、一緒に食事でもどうだい?勿論、デスクワークは抜きで」


にこにこ。

虫も殺せぬような笑顔に『確信犯』とでかでかと書いてあるような気がした。


後日リザが思いつく限りの店を調べてみたが、ドレスを始め靴もアクセサリも、結局ロイが全て支払っていたという。
結構な値が付いていた筈だが、彼に言い含められていたらしい店員は、幾ら尋ねても正確な請求額を教えてはくれなかったという。

                                                                           【END】


あとがき

最初と最後に何となく当初予定していた展開の名残が残ってますが、中身の八割は全く違う展開となりました(笑)
ドレスアップしたリザを、ロイと躍らせたかっただけなんだけどなー(^_^;)
金持ちのボンクラ息子を相手に、二人に啖呵を切ってもらいました。丁寧な言葉で相手をこき下ろしていくのは楽しかったですね。

実はハボック、本来なら出番無かったんです。
でもこういう席に出るのに、自分で車運転するかなーとか、チラッと思いまして。
ラストシーンはロイが運転してリザと二人で話してるだけだったんですが、最後に笑いどころが欲しかった事もあり、ハボック急遽登場。
ロイと組ませると会話のテンポが良くなって、オチをつけるのがラクになりました(^^)

最後の最後にあるロイとリザの一連の遣り取りは急遽突っ込んだので、作業時間十五分ほどです(笑)
一度UPしたんですが、急に書き足したくなったんで、一旦下げてまたUPし直しました(^_^;)

                                                                    麻生 司


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