冷静と情熱

裏切りと忠誠

凍りつかせた心に封じた真実は彼自身のみが知る

【ロアン・デミトリッヒ】


1996年

1999年
誕生日:1981年1月8日※
星座:山羊座
血液型:A型
国籍:スイス
身長:175センチ
体重:69キロ


※掲載誌には『1979年生まれ』となっているが、1980年生まれのシモーヌよりも歳下
(#10で『ロアンは歳下だし』という発言がある)で、アンナよりは歳上であるという設定、
及び管理人の記憶から(アンナが14歳時にロアン15歳、シモーヌ16歳だったという別
紙の情報を見た覚えがある)誤植と判断し、訂正した。
キャラクター個人設定 アニメディア1986年8月号第一付録 蒼き流星SPTレイズナー≒MOOKより


火星探検学校の生き残り。感情よりは理屈、論理を重んじるタイプだが、行動力にも富んでいる。
エイジの持ち込んだシャトルのコンピューターの扱いにもいち早く慣れ、地球帰還までエイジの隣で
コー・パイロット(副操縦士)を務めていた。また故郷ではテニス部のキャプテンを務めていた事から、
文武両道を兼ね備えた少年だったようだ。

エイジの事は当初懐疑的に見ていたが、彼の行動と語った事が矛盾無く、自分たちを護る為に成さ
れている事に気付き、比較的早い時点で彼に信頼を寄せるようになる。
生きる為の選択肢としてエリザベスの提案でSPTの操縦法を教わった後はバルディに搭乗し、エイジ
やデビッドと共に仲間を護って戦い続けた。


1996年の地球の命運を決する戦いの際にも出撃するが、戦闘中にバルディが破損。
戦場を離脱した際にエイジは単機グレスコ艦へと突入し、彼はデビッドと共にその閃光を目に灼き付
ける事となった。



1999年、レジスタンス活動を続けるアンナ達の前に姿を現したロアンは、かつての仲間を裏切りグラド
ス軍の幹部となっていた。グレスコ提督の嫡子ル・カインの信頼も厚く、やがて彼はル・カインをして
『右腕』と呼ばれるまでの存在になった。

だがグラドスの刻印が発動される直前、彼は本来の自分自身を取り戻す。
ル・カインの腹心という偽りの仮面を脱ぎ捨て、司令官代理を任されながらもその中枢部で反旗を翻
し、地球解放戦線機構の名で一気にグラドスタワーを制圧したのだった。

彼はグラドス政府の中枢に潜り込む為、自ら獅子身中の虫となる為に、かつての仲間すら身を引き
裂かれそうな思いで欺いていたのである。レジスタンスに重要な情報流しながらも、(恐らく彼の正体
を知っていたのはエリザベスだけだったと思われる。本作中では明らかにされなかったが、謎の招待
状の差出人も彼ではないか?)表面上はグラドスに忠誠を誓い続け、裏切り者とデビッド達に罵倒さ
れながらも、決して立場を変えようとはしなかった。


グラドス・タワー制圧後はアーサー、エリザベスと共にクスコのアンナ達と合流。地球へ帰還したエイ
ジを共に出迎えた。


【管理人の個人的なコメント】


彼の事を語ろうとすると、どうしても物語後半のネタバレになってしまうのが辛いところですが(苦笑)
しかし彼の真実を知るにはどうしても二部における立場の在り方と、デビッド達との軋轢を語らない
と話が進みませんので(^_^;)

最終的にロアンがレジスタンスの一員だった、と判った上で二部を見ていると、色んな面でロアンが
苦渋の選択を強いられているのが見えて来ます。

三年ぶりの再会を果たしているかつての仲間たちが集まっている場所をル・カインに教えた事。
一方で自ら現場に踏み込み、他の者が発砲する前に『当てないように』エイジ達を攻撃した事。
ニューヨーク図書館とメトロポリタン美術館が焼き討ちに遭うとレジスタンスに報せた事。
一方で地球の文化遺産(書物や絵画など)に火を放てと言われて従った事。
デビッドとシモーヌが搭乗しているベイブルの時限爆弾の起動スイッチを押せと言われた事。
一方でレジスタンスを手引きしたアーサーに『死なないように』自分の手で制裁を加え、さり気なく時
限爆弾が仕掛けられている事を耳に入れた事、など。

場面場面で薄っすらと冷や汗をかきながら、デビッド達レジスタンスが追い詰められていく様を見て
いた彼は、内心腸(はらわた)が煮えくり返るような思いだったに違いないのです。

今此処で、ル・カインに止(とど)めをさせたなら。

何度そう思った事でしょう。でも彼はそうしなかった。
ル・カインという男の強さを十分に判っていたからというのもありますが、最も効果的な場面で反旗を
翻さない事には、今まで苦渋を舐めながらグラドスの中枢に潜り込んだ意味がなかったからです。

ル・カインに片腕とまで言わしめて、遂にロアンは彼から実戦指揮を任された。
その瞬間、確かに彼はグラドス全軍をその手中に収めたのです。
長く辛い時間が終わりを告げ、ようやく地球人としての自分自身を声高に叫べる時が来た。
彼もまた、間違いなく地球を救った英雄の一人に違いありません。

アンナやデビッドにグラドスに降伏しろと言いに来たのは、純粋に彼の良心だったと思います。
表向きだけでも服従を誓えば、命までは取られないからと。もっとも地球をグラドスの支配から解放
させる為には命なんぞ惜しくねぇ!と言ってしまうデビッドに対しては、火に油を注ぐ結果になってし
まいましたが。
そんな事は判った上で、それでもやっぱりロアンは言いに来ずにはいられなかったのだと思うので
す。かつて火星で、生死を共にした仲間がむざむざと殺されるのを見ていられないから。
本当は正義感が強く、仲間思いだったロアン。かつての仲間に裏切り者と罵倒された三年は辛い
時間だったでしょうが、これからはまた手を取り合って、地球の復興に尽力して欲しいと思います。


声優、鳥海勝美さんの代表作:
『銀河漂流バイファム』/スコット・ヘイワード役
『魔方陣グルグル』/レイド役
『機動戦士ガンダムSEED』『機動戦記ガンダムSEED DENTINY』/
                              ダリダ・ローラハ・チャンドラ二世役 など


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