Act.1 エイジ1996 〜 Act.3 刻印2000
Act.1 エイジ1996 |
主に第一部の総集編となっています。詳細なレヴューについては、 ・#1 あかい星にて ・#6 とり残されて ・#12 さよならの赤い星 ・#15 蒼き流星となって ・#20 レイズナーの怒り ・#21 我が名はフォロン ・#24 光になったエイジ ……をご覧下さい。 『行くぞ、レイ。地球を守る僕の戦いは、今始まるんだ。 死にはしない。このまま死んでたまるか!』 |
Act.2 ル・カイン1999 |
主に第二部の総集編となっています。詳細なレヴューについては、 ・#27 華麗なるル・カイン ・#26 時は流れた!(ル・カインをメインに構成されている為、TV放映版と編集順序が入れ替わっています) ・#28 クスコの聖女 ・#29 再会・謎の招待状 ・#32 ああ、ゴステロ ・#33 死鬼隊の挑戦 ・#37 エイジ対ル・カイン ……をご覧下さい。 『自分の息子にも聞かせたくない秘密…いよいよもって知りたい!』 |
Act.3 刻印2000 |
ザ・カールによって壊滅的打撃を受けたレイズナーだったが、その機体に秘められた謎ゆえに皮肉にもル・カインの手により カルラ隊から守られ窮地を脱したエイジ。だがレイズナーの損傷は甚大で、もはや修復不可能であり、残された道は地球で 作られた新しい機体にコンピューターを移植するしかない。自らの存亡の危機にフォロンが覚醒。グラドス創世の秘密の漏 洩を防ぐ為にも自爆をほのめかすが、エイジの説得に応じて再び眠りにつく。 一方カルラにレイズナーとの戦いを阻まれたル・カインは、エイジ抹殺を命じた父グレスコに詰め寄る。何故と問うル・カイン の前にジュリアが引き出され、グラドス創世の秘密が明かされた。地球とグラドスが同じ祖を持つ同じ種族だと言う事を信じ られず、虚言だと言い張る息子にグレスコは静かに全て真実だと告げる。真実を受け容れられないル・カインにグレスコは 罷免を申し渡すが、その父を彼は衝動的に撃ってしまう。致命傷を負いながらもル・カインの手から銃を奪ったグレスコは目 撃者であるカルラを射殺。己自身とグラドス支配の為にジュリアも殺せと言い残し、絶命した。 グレスコの葬儀の席で、ロアンがル・カインの副官に任命された。ル・カインの掲げるグラドス人と地球人の為の理想国家建 設の第一の布石だった。グレスコという歯止めを喪ったル・カインの政策は独裁の一途を辿り、グラドス軍内部にも不満分子 を抱える事となり、密告と粛清が横行する事になる。 グレスコの棺の前で、ル・カインは生前の父の教えを思い返していた。幼い日からグラドス人としての誇りを持てと教えられ て成長したのに、何故に今になって、支配されるべき劣った種族だと教えられていた地球人とグラドス人が同じ種族だと告げ たのか。自分の受ける衝撃を恐れて、父はこの秘密を隠し続けていた。その想いを知らず、問い詰めた挙句の衝撃で、実の 父をこの手に掛けてしまった事に涙する。亡き父と、父を手に掛けた哀れな自分の為に祈ってくれと、ル・カインは膝をつき ジュリアに懇願するが、彼女は自らの成すべき事を果たす為にグラドスタワーを後にするのだった。 人気の無い場所にロアンを呼び出し、自分にだけは本心を明かせと耳打ちするアーサー。自分やエイジ達まで欺きながら 地球の為に情報を流すのは辛かっただろうと深く頷くアーサーに、だがロアンは侮蔑の目を向ける。やはり本心から自分達 と地球を裏切ったのかと涙を浮かべるアーサーだったが、立ち去るロアンの背に彼が最後に叫んだのは、ただ『信じている』 と言う一言だった。 ル・カインの暴走に助けられ、地下組織で製作の続けられていた地球製SPTの開発も最終段階へと入っていた。だが自他 共に認める平和主義者であったエリザベスが、地球人解放のためとは言え自ら平気を作るという重圧に耐えかねて、強度 のノイローゼに陥ってしまったのだ。いよいよ生産ラインが活動を始めるその日、遂に彼女の心は引き裂かれてしまう。 兵器など作っても所詮グラドスに敵いはしないと泣き崩れるエリザベスの悲嘆を聞き、敗北するのが判っていながら人の命 を奪いあう事に意味があるのかと呟くアンナ。人間以外は獣さえこんな無意味な事はしないと答えるシモーヌに、人間には白 か黒かを決める心があるとデビッドが叫ぶ。黒か白か、即ちグラドスか地球かではなく、他に殺しあわずに済む道はないのか というアンナの言葉を聞きながら、エイジはそっとその場を離れた。外で待っていた姉に皆の答えは出たかと問われ、戦う事 の無意味さだけが判ったと口にするエイジ。ジュリアは頷き、自分をクスコに連れて行ってくれるように彼に頼む。 驕れる者の力を阻む為に、彼女は偉大な先人の智恵を借りる決心を固めたのだった。 地球人とグラドス人が祖を同じくする同じ種族であるというグラドス創世の秘密を、ジュリアから知らされたアンナ達。地球を 訪れた太古のグラドス人達は、兄弟となった二つの星の種族が将来成熟しないまま出会った時の危険を避ける為のセーフ ティ装置をクスコに残した。ジュリアが『グラドスの刻印』と呼ぶ物であった。装置を作動させれば、二つの星の間の時空が 歪み、閉鎖される。一度作動させれば、地球に残されたグラドス人達は永久に帰る故郷を喪う事になる。だが地球人に絶望 的な戦いをさせない為に、グラドス人に無益な血を流させない為に、ジュリアは刻印の作動を決心したのだ。準備が整うまで 護ってくれと言い残し、彼女は遺跡の中へと姿を消した。 その夜、エイジ達は遺跡の傍で野営していた。姉の消えた遺跡をジッと見詰めるエイジ。少し離れた焚き火の傍で座り込ん だままのアンナ。そんな二人の微妙な距離を見遣ったデビッドは自分の毛布をアンナに投げ渡すと、隣に腰を下ろしたシモ ーヌの毛布を半分被った。シモーヌは僅かな距離を詰めてデビッドに寄り添うと、彼の肩にそっと身体を預けた。 立ち上がり、エイジの肩に毛布を掛けるアンナ。振り返ったエイジはしばし彼女と見詰め合うと、その手を取り自分の隣へと 導いた。夜が明けたら全てが決する。だが今だけは―――静かに刻まれる時間の中で、彼らは互いの傍らに在る温もりに 身を委ねていた。 1999年12月31日、レジスタンスは刻印の眠るクスコの遺跡まで後退を余儀なくされる。最後の戦いを前にル・カインは全軍の 指揮権をロアンに託し、自ら指揮官席を退いた。嫉妬と憎悪の視線の渦巻く中、指揮官席に腰を下ろすロアン。アーサーに は眼鏡の奥の彼の表情を見て取る事は出来なかった。 同じ頃、遺跡では懐かしい宇宙服に身を包んだエイジを前に、アンナ達は動揺を隠せずに居た。刻印を護衛して宇宙に飛ぶ というエイジに『帰って来るんだろう!?』と問い詰めるデビッド。だが彼は静かに瞳を伏せただけだった。彼が口にした別れの言 葉は、上昇を始めた刻印の轟音にかき消されてアンナ達には聞き取れなかった。ゆっくりとヘルメットを被り、リフトの昇降レ バーに手を掛けるエイジ。まろぶように駆け寄ったアンナの髪を優しく撫でると、エイジは刻印を守ってレイズナーと共に宇宙 へ飛んだ。 上昇を続ける刻印に対して、攻撃許可を求める前線と司令本部のスタッフたち。だがロアンは、グラドス全軍に撤退を命じる。 彼は牽制に一発発砲すると、高らかに地球解放戦線機構による指令本部の占拠を宣言した。そう―――かつての仲間をも 欺き、裏切り者と罵られながらも、彼もまた地球人として戦っていたのである。グラドス軍の中枢深くに潜り込み、内部から敵 を崩壊させる為に。自分の信頼を裏切ったロアンに、ル・カインは自分が帰るまで命を預けておくと言い残し、ザ・カールを 駆って刻印とレイズナーの後を追った。 刻印の周囲を巡るように、レイズナーとザ・カールが激しい戦闘を交わす。だがV‐MAXが発動した状態で接触した二機は互 いに一瞬制御を喪い、刻印へ衝突する間際、ジュリアによって刻印内部へと吸収された。刻印の発動を止めろとル・カインは 詰め寄るが、血を流さずに戦いを終わらせるにはもはや刻印の発動しか手はないと、ジュリアは穏やかな眼差しで拒絶する。 ル・カインの信念通り、この世の真に優れた者に従うのだと――― 如何なる武器も効力を持たない刻印内部で、ル・カインは機体を降り素手でジュリアを葬ろうとするが、同じくレイズナーを降 りたエイジによって阻まれる。エイジはここで全ての決着を着けると拳を握り締めるが、ジュリアが弟の手をそっと取ると、固 く握り締められたその手の指をゆっくりと解いてゆく。これからのエイジに怒りは要らない。地球に戻って故郷を喪うグラドス 人の力になってくれと、彼女は微笑んだ。一緒に帰ろうと懇願する弟の手を離し二体のSPTと彼を刻印の外に脱出させると、 ジュリアは共に残されたル・カインの為に祈りを捧げる。 刻印は発動され、二つの星を繋ぐ宇宙が歪み、閉鎖された――― 宇宙で目覚めたエイジは、何処までも広がる虚空に姉の声を聞く。 だが刻印は既に視界の何処にも無く、呼ぶ声に答える者は無い。 漆黒の宇宙に蒼く輝く星を目にして、エイジは姉との最後の約束を果たすべく地球を目指す。 火星から生死を共にした無二の友、自分の恩人でもある父の親友。 そして三年前のあの日、たった一人自分の言葉に耳を傾けてくれた掛け替えの無い少女が待つ地球へと――― 明け始めたクスコの空に、一点の蒼い光が滲む。 まっすぐに自分たちを目指すその光は、彼らが帰還を待ち望んだレイズナーだった。 歓喜の声を上げてレイズナーに駆け寄る仲間達。だが誰よりも早く駆け出したのはアンナだった。 地上へ降り立ったエイジが、駆けながら大きく両手を広げてアンナの名を呼んだ。 彼女もまたエイジの名を呼び、その腕の中へと飛び込んでゆく。 仲間たちの祝福に包まれて、二人は初めての口付けを交わした。 ※一部#38のレヴューを流用しました。 『そうだ……僕には地球でやらなければならない事がある』 |