オールクリア後の感想など

攻略キャラのルートに入るまでに、そこそこの長さの共通ルートが用意されています。
主人公であるツグミの名前は任意で変更可能。
但しデフォルトの『ツグミ』以外だと、キャラ達に声付きで名前を呼んで貰えません。
主人公に完全に自分を重ねてプレイするスタイルでないのなら、
デフォルト名の『久世ツグミ』のままでプレイする事をお勧めします。

共通ルートは主人公の生い立ちや、現在の立場に至るまでの過程の説明。
後は登場人物達の顔見せです。攻略対象キャラは六名。
みんな基本良い人なので(後のツンデレ含む)、
共通ルートの間に誰から攻めるか狙いを定めておくと良いですね。
但し累と隼人には攻略制限が掛かっているので、
初期段階で攻略可能なのは四名です。あしからず。

※※※※※

二十五年まで暦を刻んだ異世界の大正(=大翔)時代が舞台。
主人公は傾きつつある子爵家の娘。
時期当主となる予定のまだ幼い弟の為に子爵家を残そうと、
資金援助と共に父親から切り出された、会った事も無い相手との結婚話を飲もうとしていた。
しかしそんな時、蚊帳の外に置かれていた事で姉を詰った弟が、
稀モノと呼ばれる本を手にした状態で焼身自殺を図る。
炎に包まれる弟の姿を目にした事で、彼女の目は見えざるものを映す力を宿した。
本に宿る、アウラという名の感情の色を見る力を。


…というのが、まあ冒頭。
公式サイトを見てた時はアウラってなんじゃらほいと思っていたんだけど、
よく考えたらアウラ=aura=オーラだとしばらく経って気付いた。
本に宿った書き手の感情が色として見えると言う事で、サイコメトリストの亜種ってとこかな。
作中には炎を生み出して操るパイロキネシスも仲間として登場するし、
地味目の異能力ADVって感じかと。

結論から言うと、今回のゲームは私にとってドストライクでした。
元々和洋折衷感満載の大正時代は設定として大好物。
主人公も元気と勢いだけが取り得の空気読めない子ではなく、
寧ろ周囲に気を使いすぎて、それをからかわれるような子。
同僚となった周囲の人が基本良い人ばかりなもんで、
悩んだり迷ったりしながらも、華族の箱入りお嬢様だった主人公が、
徐々に自立した職業婦人然としていく姿が微笑ましい。


…が、このゲーム侮れないのが、CERO:D(17歳以上対象)という所で。
勿論R18ほどえげつなくは無いんだけど、
一歩手前までは結構踏み込んで書かれてる(苦笑)
ハッピーEDルートではもはやお約束のコースと化すので(1キャラ2シーンは必ずある)
2キャラ目以降はそろそろだな、と察しがつくんだけど
バッドED絡みの情事は変化球でぶっこんで来るので、かなり抉ってくる。

一番こっちのMP(=精神)持っていったのは、洸が腹違いの兄に主人公を寝取られるED。
ニュアンスじゃないぞ。ガチで寝取られる。 流石にスチルは無かったけど。
仲間と恋人である洸の命の保証の為とは言え、女性としてはねぇ…
しかも当の洸には付かず離れずで自分と彼女の傍に居ろと異母兄が命じる辺り、
貴様は鬼だと心から思ったわ(苦笑)
まあ、その寝取り兄にも色々経緯があるのがオマケシナリオで判るんだけど、
恋人寝取られた異母弟の中の人(=岡本信彦さん)の咽び泣きの名演も相まって、
あのバッドEDは一番利いた。

あとたま〜に割り込む弟ED。
弟君は焼身自殺を図ったものの何とか命は取り留めるんだけど、
母親が病弱だった為に姉である主人公が母代わりとなってかなり甘やかしたからか、
一言で言うと…病んでる。男の子でもヤンデレって言っていいのかな?
姉への思慕が強過ぎて、もはや依存ではなく支配に転じつつある。
神様へ姉さんと結婚出来るようにしてくださいとかお願いしてるあたり、かなり末期。
姉の当初の結婚相手だった成金の息子を下賎な平民と蔑む辺り、
主人公ちゃんが甘やかし過ぎたなと痛感したよ。

その割に伯爵家の血を引く首相の息子との縁談を反対するのはどういう訳だ(笑)
血統から言えば子爵家の自分達より上だぞw
そんで自分が大好きな作家先生には、
喜んで姉を嫁にと差し出す辺り、やっぱり子供だww


全体の出来としては、概ね文句無し。
シナリオ的にもかなりボリュームあったし、クリアで解放されるオマケシナリオも面白いしで、
ファンディスク出ないかなと今から期待。寧ろアニメ化カモン!(笑)
ノルン+ノネットと根っこ同じだから、人気出れば可能性皆無じゃない。
今の所市場評価も良さげだしね。

『○○先生脚本だから恋愛要素に期待してたのに、思ったより温い!』と
かなり辛い評価つけてる人が居たんだけど、
成人以下でも買える商業製品で、男女恋愛物とBL物で濃さを比べてはイカン…(苦笑)
こう言ったら何だけど、絶対BLの方が規制低いから!
男女モノで同じ事やったら、BLより遥かに成人指定食らう確率高いから!
個人的には事前と事後の雰囲気だけでニヤニヤ出来るから十分だったけどな。
若者よ、もうちょい想像力…というか、妄想力を鍛え給え。
事前と事後で二割なら、描かれていない八割部分は妄想で補うんだ。
信じればそれが公式だぞ、脳内の(笑)
シナリオの順位的には

尾崎隼人(梶裕貴さん)

鴻上洸(岡本信彦さん)

鵜飼昌吾(木村良平さん)

鷺澤累(櫻井孝宏さん)

星川翡翠(逢坂良太さん)

汀紫鶴(鈴村健一さん)

隠由鷹(緑川光さん)

かな。最後の中の人が緑川さんのシナリオは、
所謂大団円ED扱いで恋人EDではありません
…つーか、あれが大団円というのがイマイチ腑に落ちないんだけども(笑)
中の人はメイン張ってるのは全員有名声優だったんで、どのキャラも負けず劣らず。
後は誰がツボるかなんだろうけど、やっぱり梶さんが演じた隼人ルートがチート過ぎ。


最初から個別ルート選べる段階で解放されてるのは、
洸、翡翠、昌吾、紫鶴の四人のみ。
この四人の攻略後に累ルートが解放になり、
累攻略後にやっと隼人ルートが解放になる仕様だったんだけど、
この隼人ルートのハッピーEDで明かされた衝撃の真実に、目から鱗がザラザラと。

冒頭、主人公はもう少しで家の為に望まない結婚をする所だった。
女学校時代の友人や弟などから、やれ成金の息子だの下賎だのと散々詰られていた、
その元結婚相手が…隼人その人だった事が判明。

実は女学校時代の主人公に隼人が一方的に一目惚れをしていたものの、
色々な事情から想いを告げられないまま留学などして数年経過。
その辺りの経緯はちゃんと作中で語られてたんだけど、
(帰国後に再会&同僚になったのは本当に偶然)
親の事や金の事は抜きにして、自分を見て欲しかったという理由から、
尾崎という偽名を使って活動してたんで、最後まで判らなかったという。

実際に隼人が奮戦して主人公を助けに来た所も目にしてるし、
姉に対する溺愛ぶりも、その家族(=弟君)に向ける優しさもしっかり見ちゃったから、
弟君ももう下賎な平民とか言えまいてw


システム周りがかなり親切なので、普通にプレイしていればイベントコンプは簡単。
ただバッド扱いの弟EDがパラパラと違うルートでも発生したりするので、
まだ開いてないシナリオがあったとしたら、そのルートでバッド寄りで進めてみるのをお勧め。


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